Total Assist

MENU

JA CN
2024.04.10.Wed
最新の長寿情報

2024年3月の最新新着情報  NMN機能性食品開発協会 橋本圭司

最新の長寿情報

シンガポールで販売されるNMNサプリメントの量と純度をテマセク・ポリテクニックとNUSヨンローリン医科大学の研究者が調査した結果、18製品のテストにおいて、3製品にはNMNが含まれておらず、6製品はラベル表示より20%~100%低い含有量、6製品は0~20%未満、3製品は表示を超える含有量があったことが報告されました(その他引用1)。サンダロワ博士は、問題解決のためにメーカー間の業界全体での協力が必要であるとしています。一方で現在の検査手法では検出に不正確な場合があり、品質基準の開発に向けた企業との協力が求められるとしています。

3月では以下の最新情報をご紹介します。

 今月の主なトピックスは以下の通りです。

①新型コロナウイルス感染症がもたらす睡眠障害のメカニズムとNMNによる改善法に関して考察したレポートが公開されました

②老齢のマウスにおいて、NMNの補給は老年期の虚弱を遅らせ、健康な老化を助け、結腸の老化を遅らせることができることが示されました

 

以下詳細です。

①新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、睡眠に関する問題を引き起こすことが分かっています。特に、不眠症と呼ばれる睡眠障害が増加しています。不眠症とは、寝つきが悪い、途中で目が覚める、睡眠時間が短いなどの症状で、心身の健康や生活の質に悪影響を及ぼします。このような不眠症をCOVID-19と関連付けて、「COVID-ソムニア」や「コロナソムニア」と呼ぶことがあります。

不眠症の原因は、心理的な緊張や不安、生活リズムの乱れ、睡眠の質を調整する機能の低下などが複雑に絡んでいます。不眠症の治療には、薬物療法や行動療法などがありますが、副作用や効果の持続性などの問題があります。

最近、不眠症の新しい治療法として、ニコチンアミド・モノヌクレオチド(NMN)という物質の摂取が提案されています。NMNは、ビタミンB3から生成される物質で、さまざまな食品に含まれています。NMNが体内に摂り込まれると、「NAD」という補酵素へと変換されます。

NADは、細胞内のエネルギーの産出やDNAの修復などに必要な物質です。しかし、加齢やストレスにより減少することが知られています。NADの量が減ると、サーチュインというタンパク質の働きも低下します。サーチュインは、老化や寿命の制御に重要な役割を果たすタンパク質で、睡眠にも関係しています。

サーチュインの中でも、SIRT1という種類のタンパク質は、睡眠と覚醒のバランスを調整する神経伝達物質や睡眠物質と関係しています3。また、SIRT1は、脳内で体内時計を司るBMAL1とCLOCKという遺伝子の働きを活性化させます。体内時計は、日中と夜間のリズムに合わせて、睡眠の質や量を調節する機能です。さらに、SIRT1は、睡眠の必要度を高める機能である睡眠恒常性にも寄与すると考えられています。

COVID-19の感染により、SIRT1の働きが阻害されることが分かっています。これは、COVID-19が炎症を引き起こし、細胞内のNADの量を減らすことが原因です。NADの量が減ると、SIRT1の活性も低下します。NADは、COVID-19の感染に対する抵抗力にも関係しています。COVID-19の重症患者では、NADの量が健康な人よりも低いことが報告されています。

これらのことから、COVID-ソムニアは、COVID-19の感染によるNADの減少が、SIRT1の働きを低下させ、体内時計や睡眠恒常性に悪影響を及ぼすことが原因である可能性があります。SIRT1が睡眠の調節に重要な役割を果たすとすれば、SIRT1の働きを回復させることが、COVID-ソムニアの治療に有効であると考えられます。そのためには、SIRT1とNADの関係を明らかにする基礎研究や、SIRT1の活性を高める安全で効果的な治療法の開発が必要です。

表題:Covidsomnia: is the sirtuin1-NAD + axis the clue of the matter?

<対象>-

<引用>Mormile, R., Mormile, C. Covidsomnia: is the sirtuin1-NAD + axis the clue of the matter?. Sleep Biol. Rhythms (2024). https://doi.org/10.1007/s41105-024-00518-z

<URL>https://link.springer.com/article/10.1007/s41105-024-00518-z

 

②老化とは、年齢とともに生物の多くの組織や臓器の生理機能が衰えることを指します。

年を取るにつれて、私たちの腸も変化し、弱くなり、全体的な老化に寄与する可能性があります。最近の研究では、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)が腸の機能を調節する役割を果たしていることが示唆されていますが、老化マウスの結腸・大腸の健康を維持する役割についてはまだ十分な研究がありません。

この研究は、老化マウスの結腸機能に対する長期介入の効果を調べることを目的としました。

本研究では、特定の遺伝子が欠けているため早く老化するマウスのモデルであるZmpste24-/-マウスを使用しました。

その結果、NMNが寿命を延ばし、老化を遅らせることを証明しました。

これは、腸上皮細胞をつなぎ不要な物質が体内に入るのを防ぐタイトジャンクションタンパク質の発現を増加させ、粘液を作り腸の保護をする役割を果たすゴブレット細胞の数を増やし、抗炎症因子の放出を増加させ、有益な腸内細菌を増やすことによって達成されました。

また、NMNはSIRT1、NMNAT2、NMNAT3というタンパク質の発現を増加させ、P53タンパク質の発現を減少させました。

さらに、Wnt/β-カテニンとLgr5を増加させることで、腸幹細胞の活動を調節しました。Wnt/β-カテニンとLgr5は、腸幹細胞の活動を促進するためのシグナル経路です。

また、NMNは腸内細菌の一種で健康に良い影響を与えるとされる細菌群を増加させ、がんにおけるコリン代謝に関連する代謝経路において顕著な違いがあることも明らかになりました。

要約すると、NMNの補給は老年期の虚弱を遅らせ、健康的な老化を助け、腸の老化を遅らせることができることが示唆されました。

表題:β-Nicotinamide mononucleotide supplementation prolongs the lifespan of prematurely aged mice and protects colon function in ageing mice

<対象>マウス

<引用>Gu Y, Gao L, He J, Luo M, Hu M, Lin Y, Li J, Hou T, Si J, Yu Y. β-Nicotinamide mononucleotide supplementation prolongs the lifespan of prematurely aged mice and protects colon function in ageing mice. Food Funct. 2024 Mar 6. doi: 10.1039/d3fo05221d. Epub ahead of print. PMID: 38445897.

<URL>β-Nicotinamide mononucleotide supplementation prolongs the lifespan of prematurely aged mice and protects colon function in ageing mice

<その他引用>

1.” NMN quality in question:Singapore reasearchers call for industory effort in meeting label claims”, https://www.nutraingredients-asia.com/Article/2024/03/13/nmn-supplements-sold-in-singapore-did-not-meet-label-claims-says-new-research