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2024.04.10.Wed
最新の長寿情報

2024年1月の最新新着情報  NMN機能性食品開発協会 橋本圭司

最新の長寿情報

1月では以下の最新情報をご紹介します。

今月の主なトピックスは以下の通りです。

①ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)を朝食前に250㎎、8週間摂取した日本人中年男性において、安全に代謝され末梢血単核球中のNAD+の向上及び、経口ブドウ糖負荷後にインスリン過剰分泌がみられた参加者において、NMNは冠動脈疾患の危険因子である食後高インスリン血症を緩やかに抑制したという臨床研究が公開されました。

②NMNが高脂肪食誘発性動脈硬化症からマウスを保護し、大動脈の炎症と酸化ストレスを抑制することを示唆する研究が出ました。研究ではNMNは動脈プラークの蓄積とその中の脂肪沈着を減少させ、動脈硬化の抑制を示唆されました。
またNMNは、動脈プラーク内の死んだ細胞や脂肪の蓄積を減少させることにより、プラークの破裂から保護することが示されました。

③母乳中のNMN濃度と乳児の神経発達との関連を示す研究が公開されました。

 

以下研究の詳細です。

①NMNの8週間経口投与による影響を調べる8週間の単施設、単群、非盲検臨床試験が慶応大学病院にて行われました。内容としては11人の健康な中年日本人男性が、125mgのNMNカプセル2個を1日1回朝食前に摂取するもので、結果は安全に代謝され、末梢血単核球中のNAD+濃度はNMN投与期間中に上昇がみられました。また、経口ブドウ糖負荷後にインスリン過剰分泌がみられた参加者において、NMNは冠動脈疾患の危険因子である食後高インスリン血症を緩やかに抑制しました(n = 3)。結論として、NMNは健康な中年の日本人男性において、安全かつ効果的にNAD+生合成を促進し、食後高インスリン血症を緩和する可能性を示唆するものとなりました。

表題:Safety and efficacy of long-term nicotinamide mononucleotide supplementation on metabolism, sleep, and nicotinamide adenine dinucleotide biosynthesis in healthy, middle-aged Japanese men

<対象>日本人中年男性

<引用>Yamaguchi S, Irie J, Mitsuishi M, Uchino Y, Nakaya H, Takemura R, Inagaki E, Kosugi S, Okano H, Yasui M, Tsubota K, Hayashi K, Yoshino J, Itoh H. Safety and efficacy of long-term nicotinamide mononucleotide supplementation on metabolism, sleep, and nicotinamide adenine dinucleotide biosynthesis in healthy, middle-aged Japanese men. Endocr J. 2024 Jan 6. doi: 10.1507/endocrj.EJ23-0431. Epub ahead of print. PMID: 38191197.

<URL>

https://www.jstage.jst.go.jp/article/endocrj/advpub/0/advpub_EJ23-0431/_article/-char/ja/

 

②慢性炎症性疾患であるアテローム性動脈硬化症は、動脈硬化性心血管系疾患の主な原因となります。効果的なNAD+ブースターであるニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)は、動脈硬化の進行と強く関連する炎症を抑え、血管細胞機能を保護することが示されています。本研究では、動脈硬化を発生するマウスを用い、NMNの抗動脈硬化作用とその潜在的機序について検討し、その結果、NMNは大動脈洞の動脈硬化性プラークの大きさ(36%)と壊死コア(48%)を有意に減少させました。さらに、NMNは動脈硬化病変の脂質面積(43%)を減少させ、コラーゲン含量(51%)を増加させました。さらに、NMNは血清中のマロンジアルデヒド(MDA)レベルを低下させ、同時にスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)とグルタチオンペルオキシダーゼ(GSH-PX)の酵素活性を上昇させることが示されました。さらに、NMNは大動脈組織において、炎症性サイトカイン(Tnfα、Il-1β、Il-6、Mcp-1)の発現を低下させる一方で、抗炎症性因子(Arg-1、Mrc-1、Retlna、Irf-4)の発現を上昇させる結果となりました。これらの結果は、NMNが炎症と酸化ストレスを軽減することによって抗動脈硬化作用を発揮し、動脈硬化の治療戦略の可能性を提供する可能性を示していると本研究では示唆されています。

表題:Nicotinamide mononucleotide protects against high-fat-diet-induced atherosclerosis in mice and dampens aortic inflammation and oxidative stress

<対象>マウス

<引用>Zi Wang, Shuaishuai Zhou, Yanling Hao, Tiancheng Xu, Peng An, Yongting Luo, Junjie Luo, Nicotinamide mononucleotide protects against high-fat-diet-induced atherosclerosis in mice and dampens aortic inflammation and oxidative stress,

Journal of Functional Foods, Volume 112, 2024, 105985, ISSN 1756-4646,

https://doi.org/10.1016/j.jff.2023.105985.

(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1756464623005856)

<URL>https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1756464623005856#b0050

 

 

③母乳中のNADとその前駆体の量と乳児の神経発達成績との関連を調べた研究が出ました。NADはエネルギー代謝やDNA修復などの生命活動に必要な物質で、加齢や疾患と関連して減少します。NADの前駆体は母乳に多く含まれ、特にNMNは人間の乳に他の哺乳類よりも豊富とされています。動物実験では、NADの前駆体を投与された母親の子どもの神経発達が促進されることが示されています。本研究では、東北メディカル・メガバンクの三世代コホートから無作為に選ばれた日本人の母乳中のNAD関連物質の量を測定し、順序ロジスティック回帰分析で乳児の神経発達成績との関連を評価しました。

結果、母乳中の主要なNAD前駆体としてNMNが定量されました。

そして、母乳中のNMN濃度は、24ヵ月時点の乳児の神経発達転帰と有意な正の相関を示した唯一の母乳中のNAD関連物質でもありました。

また、NMNはNRやNAMよりも母乳中で安定しており、副作用も少ないと指摘しています。NMNの効果は24ヶ月時点で顕著になることが示唆されました。一方、NAMはNAD依存性酵素の活性を阻害することがあり、神経発達成績と負の相関がありました。以上より、母乳に含まれるNMNは乳児の神経発達にとり重要な栄養素である可能性を示唆しています。

表題:Effect of Nicotinamide Mononucleotide Concentration in Human Milk on Neurodevelopmental Outcome: The Tohoku Medical Megabank Project Birth and Three-Generation Cohort Study

<対象>東北メディカルメガバンクのコホートから無作為に選ばれた母子

<引用>Saito Y, Sato K, Jinno S, Nakamura Y, Nobukuni T, Ogishima S, Mizuno S, Koshiba S, Kuriyama S, Ohneda K, Morifuji M. Effect of Nicotinamide Mononucleotide Concentration in Human Milk on Neurodevelopmental Outcome: The Tohoku Medical Megabank Project Birth and Three-Generation Cohort Study. Nutrients. 2023 Dec 31;16(1):145. doi: 10.3390/nu16010145. PMID: 38201974; PMCID: PMC10780616.

<URL> https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38201974/